『聞き書 緒方貞子回顧録』人道支援に燃える緒方貞子

『聞き書 緒方貞子回顧録』読了。

UCバークレーでの大学院時代、UNHCR高等弁務官時代、そしてJICA理事長時代をインタビュー形式で振り返った一冊。

 

何と言っても読み応えのあるのはUNHCR時代の部分。紛争と難民の問題に対し、トップ自らが行動し、前例のない取り組みを次々と打ち出していった様は、文章だけでも十二分にカッコいい。

 

聞き書という形式は、この本のライブ感を効果的に高めている。まるで緒方氏の生の声を聞いているよう。

特にルワンダ内戦のくだりは、国際社会の支援が全くなかったことに対し、緒方氏が未だに憤っていることがよく伝わってくる。

 

また聞き書ということで、必然的に緒方氏の語りがそのまま紛争の事実・背景説明になるのだが、それがどれも過不足なく、実に読みやすくまとまっている。

このあたりは編集者の手腕もあるだろうが、緒方氏が客観的かつ論理的にものごとを捉えていることを示している。

 

緒方氏自身も述べているが、やはりどこか学者肌なのだろう。

 

国際人道支援に興味のある方は必読の一冊。特に今の若い世代は、このあたりの話に明るくないと思うので、おすすめである。